アフリカ旅行記最終回。旅程8日目にナミブ砂漠方面へ移動しました。
拠点となるのは西南部にあるナミブ・ナウクラフト国立公園。アフリカの国立公園中最大の4万平方kmの広さを誇ります。宿泊先は国立公園のゲートに近い、ソッススフレイ・ロッジ。客室はすべて独立したテント型のおうちで、目の前にはサバンナと巨大な岩山が広がっているのです!まるで
草原の真ん中に引っ越してきたような開放感に浸りながら、スケッチしてしまいましたよ。
ところで砂漠といえば、すぐ砂丘が連なる景色を思い浮かべませんか?
実は砂漠の大部分は、大きな岩で覆われた「岩石砂漠」や、こまかい石ころで覆われた「礫砂漠」です。
砂丘が連なる「砂砂漠」は、全体の20〜30%程度。国土の大半が砂漠のナミビアでも、ナミブ・ナウクラフト国立公園の最奥部へ行かないと、あのアプリコット色の砂丘が連なる様子を見ることはできないのです(下図参照↓)。砂丘って貴重なものだったのね…
砂丘が最も印象的な姿を見せるのは、日の出で陰影がくっきり付く時間。
だからこの国立公園を散策する日は、早朝に起きて、ゲートから45kmのところにある絶景ポイントまでガイドさんに全力でランクルを飛ばしてもらいました。実は開門時間の6時を15分も過ぎてからゲートインが始まったため(←こんな遅刻はよくあることらしい)、車で移動している途中で日が昇っちゃったんだけどね(^_^;。車窓の外を流れる砂丘群がバラ色に色づいていく様は、まるで芸術を見ているようです。あまりにも幻想的すぎて、この世のものとも思えないほど。
そんなわけで、多少日が登ってから絶景ポイントの「デューン45」という砂丘に登り始めました。ゲートから45km且つ45番目にある砂丘だそうです。美しい稜線を描く砂丘のてっぺんには、一見すぐに登れそうな気がします。が…
甘かったよーー!稜線のすぐ脇を上に向かって歩いていくのですが、一歩進むごとに足元の砂はずぶずぶ崩れるわ、靴には砂が入ってどんどん重くなるわ!まさに「三歩進んで二歩下がる」です。歩いても歩いてもまったく進んでいるような気がしない。
「こんなの足で登るのはムリッ。ラクダを連れてきてーー!!」絶叫しながらようやくてっぺんにたどり着いたときには、ほぼ半泣きでした。しかし頂上から拝んだ、見渡す限りの砂の世界には驚嘆。TVや写真集でおなじみのこの景色は、ヒーヒー言いながら砂丘を登りきってみて、始めて堪能できるものなんだわ…!
デューン45の後は、国立公園最奧部のソッススフレイ(舌噛みそう)という砂丘付近へ移動し、朝ご飯です。なだらかに連なる砂丘群を眺めながら、砂地にテーブルを出して摂った朝食は最高においしかった!ちょっと油断すると灌木からすぐにスズメの群れが飛んできて、パンを食べてしまうんですけど(笑)。
よくよく見ると砂地にポツポツと生える灌木の間には、オリックスたちがサクサクと歩いています。こんな砂だらけのところでよく逞しく生きているなあと感心。ソッススフレイの砂丘にも、オリックスの足跡がいっぱい付いていました。
この後さらに、デッドフレイという絶景ポイントへのピクニックに挑戦。
砂漠のど真ん中にある、900年ほど前に干上がった湖の跡地へ向かうコースです。一見なだらかな砂丘を歩いていくように見えますが、この頃には既に太陽は天高く昇っており、容赦ない日差しに晒されてツライのなんの。白人さんのグループなんて、上半身裸で歩いている人がいっぱいいた程でした。
もともと体力も根性も足りない私は、道半ば(というか砂半ば)で完全にヘバッてしまい、
「も、もう私はここで脱落するから、一人で湖まで行ってきて」と夫に声をかけてギブアップ。しかし日差しから逃れようにも、砂以外なーんも無いので休むに休めません。このままおとなしく日干しになるしか無いのか?!
しばらくすると先を歩いていた夫から、「すぐそこに目的地が見えてるよー!」と声がかかりました。こうなると人は俄然やる気が出るもので、さっきまでガックリと砂に膝をついていたワタシとは思えないような勢いで、ガシガシと歩き始めました。砂漠(砂丘)で何がツライかというと、日差しもさることながら、砂・砂・砂に圧倒されて方向感覚と距離感がまるで働かなくなることですね。
ようやくたどり付いたデッドフレイは、その名のとおり「死の湖」。900年前に立ち枯れて化石化した木が、オブジェのように静かな別世界を作り上げていました。まるでダリの絵のようなシュールさです。
ナミブ砂漠を楽しんだ(苦しんだ)翌日に、帰路につきました。
ワルヴィス・ベイの空港へ向かう道中のサバンナでは、野生のキリンの群れに遭遇。キリンのお母さんのうしろに、子供のキリンがピッタリくっついている様子がとてもかわいらしいのです。それにしても草原の中で見る生キリン(←ビールではない)の、縦にでっかいことと言ったら、当たり前ですが新鮮な驚きです。キリンの目から見る人間は、どんな風に見えるんだろうか…
シンガポールに住んでいたおかげで、アフリカに行くことができました。
ヨハネスブルグに直行便が飛んでいるという地の利がなければ、私がアフリカの大地を歩ける機会は永遠に無かったでしょう。今ではTVの自然番組でサバンナが映ったりしようものなら、大騒ぎで見入ってしまう、にわかアフリカファンの私です(笑)。
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