再びスイス・イタリア旅日記の続き、その5。
ローザンヌの後は、山岳リゾートのツェルマットへ移動しました。
今回の旅は主に「各地に住む友人を訪ね歩く旅」というのがテーマだったため、都市部を中心とした滞在でした。しかし
「やっぱりスイスに行くからには、山歩きもしないと!」と、私がいささか強引にスケジュールにねじ込んだのです。
実は以前に一人旅でツェルマットに来たことがあり、そのときトレッキング中に眺めたマッターホルンの美しさが、ずっと忘れられなかったのです。
ところが午後にツェルマットのホテルに着いたら、なんと雨降りー!
空は灰色の雲に覆われて、マッターホルンなんて影も形も見えません。さっさとお昼寝をはじめた夫の横で、私は恨めしそうに外を眺めながら、ipadをいじっていました。その後SNSの閲覧に没頭しかけていたところ、ふと窓の外が明るい…と思って空を見上げたら、雨が止んで雲の間から突然マッターホルンが姿を現したのです!
「起きて起きて起きて!マッターホルンが出てきたよ!!」夫を叩き起こして、ツェルマットの中心を流れるマッター・フィスパ川まで出てみたら、橋の上には角笛のようなマッターホルン(4478m)が鎮座していました。さっきまで雲に覆われて何ひとつ見えなかったのが、嘘のような巨大さです。山の天気の変化の速さと、生マッターホルンの神々しさに感嘆。
翌日は登山鉄道でゴルナーグラート展望台へ出発。3089mの高地です。
実はツェルマットはものすごーーーく日本人観光客の多い村で、どこもかしこも日本語の案内が充実。登山鉄道のアナウンスも、
英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語・日本語で行われるのです。ヨーロッパのそこかしこにいる中国人観光客の皆さんが、ここにはほとんどいないことにビックリ。標高1620mの村の中は、環境保護のため電気自動車しか入ることができず、大型バスで団体客が乗り入れられないのが理由と思われます。
そんなわけで極めて快適な(あわわ)登山鉄道に乗って、30分余り。どんどん大きくなるマッターホルンを眺めながら、展望台の駅に到着です。ところがこの日のマッターホルンは、てっぺんだけ帽子を被ったかのような雲に覆われていたのです。この旅行中ずっと快晴に恵まれてきたのに、何で一番晴れてほしいところが曇りになるんだーー!(号泣)
しかし最大の問題は雲ではありませんでした。強風です。
モンテ・ローザやブライトホルンなど4000m級の山々が見渡せる展望台には、ものすごい風が吹いていました。はっきり言って
寒い!真夏なのに!!目の前に迫るゴルナー氷河やシュヴァルツ氷河の迫力には圧倒されましたが、それ以上に顔面に叩きつけるような強風の冷たさに、おちおちカメラも取り出せません。それなりに厚着をしていったつもりだったのに、高山の天気の厳しさをナメてましたよ…。結局 展望台の売店で、マッターホルンのアップリケが付いた手袋を買ったのでした。トホホ。
展望台の後は、マッターホルンを眺めながらトレッキングに挑戦。
登山鉄道で一駅分降りて、ローテンボーデン駅(2815m)から、二駅先のリッフェルアルプ駅(2582m)までの山道を降っていくコースです。ローテンボーデンまで降りてくると風はだいぶ弱まっており、どうにか歩くことができました。この近くにはリッフェルゼーという湖があり、風のない晴天の日には「逆さマッターホルン」が見えることで有名。が、この日の眺めはほぼダメダメでした(>_<)。でも湖にぼんやり映る青いマッターホルン(雲かぶり)と、岸辺を埋め尽くす白い花々に感動しましたよ。
トレッキングコースの途上では、他にも次々に高山植物に出合うことができました。青いカンパニュラやピンクのヤナギラン、白いアキレアなど、険しい岩陰にひっそりと咲いている花々は可憐そのもの。雪をかぶったアルプスの山を眺めながら、野生の花が咲く道を歩くと、まさに天上の世界という感じです。あまりの美しさに、不安定な岩の道を歩く苦労も吹っ飛びます。次の日はすごい筋肉痛だったけど!
翌日の午後、イタリアへ出発するため、ツェルマットを後にしました。
この日もマッターホルンは雲に覆われたままでした。結局今回、我々は初日の夕方にしか、完全な姿のマッターホルンを拝めなかったのであった…。
「次に来る機会があったら、やっぱツェルマットは4泊くらいしよう」と誓いながら、鉄道に乗ってスイスを旅立ったのでした。まあ旅の間にはこんなこともあるさ…
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